離婚時年金分割の対象は老齢厚生年金
2007年4月から開始された離婚時年金分割制度を利用することで、夫婦間で事前に決めた分割割合に基づいて年金の支給額を調整することができるようになりましたが、この制度の対象となるのは老齢厚生年金のみとなっている点には十分に注意が必要です。
老齢厚生年金は、適用事業所として届出が済んでいる企業等に勤務しており、少なくとも1ヶ月分の保険料を払い込んでいれば、将来受給年齢に達したときに保険者からお金が支給され、被保険者となっていた期間が長いほど、また毎月受け取る給与が多くなるほど受け取れる金額は増えていきます。
離婚時年金分割制度は、夫婦がともに独り身だと仮定した場合に受け取れる老齢厚生年金の金額の差が大きいほどメリットが大きい制度で、専業の主婦もしくは主夫のような結婚後に収入を得る仕事をしていない人であるほどメリットが大きくなります。
専業主婦(主夫)が配偶者との婚姻関係を解消する場合、解消した年齢が高齢であればあるほど、将来年金が支給されるときに、離婚後の生活基盤を安定させるのに十分な金額を受け取ることができない可能性がありますが、離婚時年金分割制度をつかって配偶者に支給される分の一部を分け与えるようにすれば、離婚後受給年齢に達した後の生活を幾分か安定化させることができます。
離婚時年金分割の分割請求の期限について
離婚時年金分割というのは、婚姻中の厚生年金記録を当事者間で分割する制度ですが、この分割請求は期限内に行わなければなりません。この期限を過ぎてしまうともはや請求ができなくなりますので、しっかりと把握しておく必要があります。
分割請求の期限は次にあげる3つの事由に該当した日の翌日から2年以内となっており、その事由とは離婚をしたとき、婚姻の取り消しをしたとき、事実婚関係にある人が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるときです。
基本的に法律婚や事実婚といった状態が解消したときから2年以内に請求しなければ、離婚時年金分割請求はできないということになります。
ただこの期限には特例があり、婚姻関係の解消から2年を経過するまでの間に裁判や調停などの申し立てを行った状態で、本来の請求期限が経過したまたは本来の請求期限経過日前の1か月以内に審判や調停が成立した場合にはその日の翌日から1か月期限が延期されます。