家庭裁判所を利用して分割割合を決める方法

調停で離婚時年金分割を決める方法

離婚時年金分割の種類の一つに、話し合いによって分割割合を決める合意分割がありますが、この方法は夫婦間の協議に依らなくても行うことができるのがメリットです。

合意分割による離婚時年金分割において、離婚する夫婦間での協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てるのが一般的です。

調停手続では、裁判官と調停委員が夫婦双方の主張を聞き、合意可能な分割案を作成し、夫婦が合意すればその分割案で年金を分割することができます。

具体的には家庭裁判所で離婚調停をすることになった場合、手続の中で離婚時年金分割の方法について決めれば、夫婦双方が合意に達したときに作成される調書に分割方法についても記載され、標準報酬改定請求書の添付書類として調書の謄本を年金事務所に提出すれば、その内容が将来の支給時に反映されます。

また、調停による離婚時年金分割の手続は離婚後であっても、離婚が成立した日の翌日から2年以内であれば、元の夫婦のどちらかが家庭裁判所に申し立てることによって行うことができます。

手続の流れは離婚時に行う調停と同じで、別れた元夫と元妻の両方に特定の日に裁判所に出頭するよう求め、裁判官と裁判所から選任された委員が双方の意見を聞いた上で分割割合を提案し、両者が合意すれば調書が作成されます。

なお、家庭裁判所に申し立てて分割割合を決める場合は、申立書2通、年金分割に関する情報通知書、申立手数料1,200円分の収入印紙、予納郵券代を、相手方の所在地を管轄する家庭裁判所、もしくは離婚時の合意内容として取り決めた家庭裁判所に提出しなければなりません。

審判で離婚時年金分割を決める方法

離婚時年金分割を合意分割によって行う場合は、家庭裁判所の審判手続を利用することもできます。

何度調停期日を設けても合意が得られずに調停不成立となった場合は、自動的に審判手続に移行し、裁判官らによって分割割合が決定されます。

その決定に対して2週間以内に夫婦のうちのいずれかが異議を申し立てなければ、決定は確定となります。あとは年金事務所に、審判書や確定証明書などといった書類を標準報酬改定請求書などと一緒に提出すれば分割の処理が実行され、改定後の標準報酬月額と標準賞与額に基づいて支給が実施されます。

なお、離婚時年金分割に関する申し立ては離婚した後でも、一方が相手方の所在地を管轄する家庭裁判所に申立書類と申立手数料を出せば行うことができるので、離婚後になって分割を希望する考えに至ったのであれば調停を申し立ててみるとよいでしょう。

ただし、この申し立てができるのは、婚姻関係が正式に解消された日から2年以内となっているので注意が必要です。