離婚時年金分割の手続きについて
夫婦合意の上で離婚時年金分割を行う場合、まず行わなければならないのは夫婦双方の加入記録を知ることです。
年金事務所に戸籍全部事項証明書、年金番号等の情報がわかるもの、身分証明書、印鑑の4点を持参し、情報提供請求書とともに提出すると、情報通知書が交付されます。
通知書には離婚時年金分割の対象となる期間とその期間の標準報酬月額、および決めることができる分割割合の範囲が記載されており、これに基づいて、分割割合に応じて受給額がどれくらい変わるのかを計算しながら、合意に向けた取り組みを進めていきます。
夫婦合意によって分割する場合は、話し合いによる合意か、家庭裁判所での調停および審判による合意のいずれかでなければ手続きを行うことができません。
また、話し合いによって分割割合を決めた場合は、その内容を公正証書か、公証人の認証を受けた私署証書にまとめられていなければならず、手続きの際にこれを持参できなければ申請は受理されません。
最終的な分割手続きは、合意されたことを示す書類や婚姻期間を示す戸籍全部事項証明書などとともに、標準報酬改定請求書と呼ばれる書類を提出することによって行います。
書類の内容に不備がなければ夫婦双方に標準報酬改定通知書が送付され、受給年齢に達した後はこの通知書の内容に基づいて支給が実施され、既に受給年齢に達している場合は請求書を出した日の翌月から改定された内容が適用されます。
離婚時年金分割で必要なもの
離婚時年金分割を行う際に必要なものは、3号分割を行う場合と、合意分割を行う場合とでは異なります。
手続きが比較的簡単なのは3号分割で、標準報酬改定請求書、請求者の基礎年金番号等がわかるもの、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)をはじめとする婚姻期間がわかるものの3点を提出し、書類の内容に誤りなどがなければ、夫婦の標準報酬が2分の1ずつ分割されます。
これに対して、合意分割によって離婚時年金分割をする場合は必要なものが増え、3号分割において必要な3点の書類のほかに、分割について合意がなされたことを証明できる書類が必要となります。
ここでいう証明書類とは、裁判所の手続を利用した場合だと、調停調書、審判書、判決書、和解調書のいずれかの謄本のことを、夫婦間の協議で成立した場合だと、合意内容が記載された公正証書もしくは私署証書のことを指します。
なお、私署証書については公証人の認証を受けなければ無効となるので注意が必要です。また、基礎年金番号等が分かるものについても、合意分割の場合は離婚した夫婦両方のものが必要となります。
離婚時年金分割を希望する場合は、上記のものを離婚が成立してから2年以内に提出しなければなりません。
ただし、離婚した夫婦のうちどちらか一方が死亡した場合は、手続きが可能な期間が死亡日から1ヶ月以内と変更されてしまいます。いつでもできると思って後回しにしていると、気がついたときには手続きができる期間が終了している可能性があるので、離婚が成立したら早めに手続きを行いましょう。