平成30年10月事務所だより
「iDeCo+」(イデコプラス)をご存じですか?
◆今年5月からスタートした中小事業主掛金納付制度の愛称
「iDeCo+」(イデコプラス)とは、厚生労働省が、今年5月からスタートした中小事業主掛金納付制度の愛称で、8月24日に、そのロゴマークとともに公表されました。
◆「iDeCo+」の概要
「iDeCo+」は、企業年金を実施していない中小企業(従業員数100人以下)において、iDeCoに加入している従業員の加入者掛金に対して、事業主が掛金を上乗せ(追加)して拠出することができる制度で、制度の概要は以下の通りです。
(1) 事業主要件
企業型確定拠出年金、確定給付企業年金および厚生年金基金を実施していない事業主で、従業員(第1号厚生年金被保険者。以下同じ。)100人以下の事業主。ただし、同じ事業主が複数の事業所を経営している場合、全事業所の従業員の合計が100人以下であることが必要。
(2) 拠出対象者
iDeCoに加入している従業員のうち、事業主掛金を拠出されることに同意した加入者。
※拠出対象者に一定の資格(職種、勤続年数)を設けることも可能。
(3) 掛金設定
加入者掛金と事業主掛金の合計額は、月額5,000円以上23,000円以下の範囲で、加入者と事業主がそれぞれ1,000円単位で決定できる。加入者掛金を0円とすることはできないが、事業主掛金が加入者掛金を上回ることはできる。また、一定の資格ごとに掛金額を設定することも可能。事業主掛金は、全額が損金に算入される。
(4) 納付方法
加入者掛金と事業主掛金を事業主がまとめて納付する。
(5) 労使合意
事業主掛金の拠出について、労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の同意が必要。また、掛金額を変更する際にも同様の同意が必要。
従業員の福利厚生の充実をお考えの中小事業主の方は、この機会に導入を検討されてはいかがでしょうか。
管理者は「働き方改革」実現に向けてどのようなスキル・能力を高めたいと思っているのか?~一般社団法人日本能率協会の調査から
◆管理者の「働き方改革」に対する意識調査とは
これは、一般社団法人日本能率協会が2017年5月~2018年7月に行った管理者向けセミナー参加者を対象に、管理者としての「働き方改革」への意識についてアンケート調査を実施したものです。
[回答者] 143人
[属 性] ―性別 男性130人(90.9%)、女性13人(9.1%)
―年齢 29歳以下:2人(1.4%)、30~35歳:10人(7.0%)、
36~40歳:31人(21.7%)、41~45歳:46人(32.2%)、
46~50歳:31人(21.7%)、51歳以上:21人(1.4%)
◆調査結果の概要
1 自社の働き方改革の取組み
各社の取組みについて、【進んでいる】【進んでいない】【今後の課題】の3つで評価されています。働き方改革の取組みで【進んでいる】として上位にあがったのは、「有給休暇の取得奨励」(62.2%)、「自身の有給休暇の取りやすさ」(49%)、「部下との活発なコミュニケーション」(47.6%)、「部署内のチームワークの活性化」(46.2%)、「上司との活発なコミュニケーション」(44.8%)と、有休およびコミュニケーションに関することでした。
一方で、【進んでいない】として上位にあげられたのは、「会議・打合せ時間の短縮」(50.3%)、「福利厚生の充実化」(49.7%)、「研究・開発・発生・営業への積極的なリソースの投入」(46.9%)、「業務へのIT技術(RPAやAIなど)の活用」(42.0%)、「構造改革への取組み」(41.3%)と、業務改善や技術投資・施策に関することでした。
2 身に付けたいスキル・能力について
働き方改革の実現のためにどのようなマネジメントに関するスキル、能力を高めたいかという質問について、【人の領域】と【業務の領域】についての回答です。
【人の領域】については、「コミュニケーション力」が57件と圧倒的に多く、「人材育成」「傾聴力」がともに6件でした。また、【業務の領域】については、「業務改善・効率化」(22件)が最も多く、次いで「マネジメント力」(15件)、「計画・スケジューリング」(8件)、「業務遂行力」(8件)でした。
3 働き方改革で実現したいことについて
多様な働き方をする従業員をマネジメントする管理職として、どのような働き方改革を実現したいかという質問に対しては、「業務改善・生産性向上に関すること」(11件)、「休暇に関すること」(10件)、「残業削減に関すること」(7件)という回答が多くありました。
「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正
◆平成27年改正による「賞与に係る報酬」
厚生労働省の通知「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の中で、報酬と賞与の取扱いが定められています。大まかに言って、年間を通じて支払い回数が3回までのものは「賞与」、4回以上のものは「報酬」とされています。それぞれ「標準賞与額」、「標準報酬月額」として保険料算定の基礎にされます。
しかし、事業者の中には保険料を安くするために、特殊な賞与の支払い方をする例がありました。例えば、年間100万円の賞与を2回にわけて支払うと標準賞与額100万円として保険料が算定されますが、100万円を12分割し、6月と12月だけ多く支払い、その他の月は500円支払うとします。そうすると、その賞与は「報酬」になり、かつ「随時改訂」の規定により算定され、年間の保険料は標準賞与額によるものより安くなります。「随時改訂」が3カ月平均で求めることを逆手に取っているわけです。
これを防ぐため、平成27年改正により、1年間を通じ4回以上支払われる賞与は「通常の報酬」ではなく「賞与に係る報酬」として、1年間の支払い合計額の12分の1を報酬額とすることとされました。
◆今般の改正による「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」、「賞与」の明確化
平成30年7月30日に出された通知によると、上記の通知に下記の2点が加わりました。
① 通知にいう「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」及び「賞与」は、名称の如何にかかわらず、二以上の異なる性質を有するものであることが諸規定又は賃金台帳等から明らかな場合には、同一の性質を有すると認められるものごとに判別するものであること。
② 通知にいう「賞与」について、7月2日以降新たにその支給が諸規定に定められた場合には、年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているときであっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬に該当しないものとすること。
厚生労働省の示すQ&Aによると、本通知の趣旨は、従前の通知に示す取扱いをより明確化し徹底を図ることです。具体的には、
①については、諸手当等の名称の如何に関わらず、諸規定又は賃金台帳等から、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別するものであること
②については、諸手当等を新設した場合のような支給実績のないときに、翌7月1日までの間は「賞与」として取り扱うものであること
とされています。
本通知は、周知期間を確保するため、発出から半年の周知期間を設けていますが、本通知の適用日以降に受け付けた届書から本通知による取扱いを適用することとされており、適用日前に受け付けた届書の内容を見直すことは要しないとされています。
従業員が特に望む福利厚生とは?
~企業における福利厚生施策の実態に関する調査から
労働政策研究・研修機構(JILPT)から、「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」の結果が公表されています。会社の福利厚生施策に対する従業員の満足度や、今後会社に望む福利厚生施策を中心に見てみます。
◆福利厚生制度・施策の目的
福利厚生制度・施策の目的としては、「従業員の仕事に対する意欲の向上」(60.1%)が最も高く、「従業員の定着」(58.8%)、「人材の確保」(52.6%)と続いています(複数回答)。
◆会社が今後充実させたいと考える施策
施策のある・なしに関わらず、今後「充実させたい(施策の新設・拡充含む)」施策として、次のものが上がっています。
「メンタルヘルス相談」(12.4%)、「治療と仕事の両立支援策」(11.5%)、「人間ドッグ受診の補助」(10.7%)、「社内での自己啓発プログラム」(10.7%)、「ノー残業デー等の設置」(10.4%)、「社員旅行の実施・補助」(10.3%)、「社外の自己啓発サービスの提供・経費補助」(10.1%)など。
◆会社の福利厚生制度への満足度
従業員が会社の福利厚生制度に満足しているかどうかについては、「どちらともいえない」(49.4%)、「満足+やや満足」(24.4%)、「やや不満足+不満足」(23.9%)と、「どちらともいえない」が半数近くを占めました。男女別では大きな差は見られませんでした。就業形態別では、「パート・アルバイト」および「契約社員」で「どちらともいえない」の割合が高く、「嘱託」で「不満足」の割合が高くなっています。
◆従業員にとって必要性が高いと思う制度・施策
従業員が、勤務先での制度・施策のある・なしに関わらず、自分にとって「特に必要性が高いと思うもの」(複数回答)については、次の制度・施策が挙がりました。
「人間ドック受診の補助」(21.8%)、「慶弔休暇制度」(20.0%)、「家賃補助や住宅手当の支給」(18.7%)、「病気休暇制度(有給以外)」(18.5%)、「病気休職制度」(18.5%)、「リフレッシュ休暇制度」(16.1%)、「有給休暇の日数の上乗せ(GW、夏期特別休暇など)」(15.2%)など。主に健康管理や休暇制度に関するものが多くありました。
その他、10%以上の回答があった項目は、「治療と仕事の両立支援策」(14.8%)、「法定を上回る育児休業・短時間制度」(13%)、など「両立支援」「労働時間」に関連するものが多く挙がっています。
中小企業庁が人材育成プラットフォーム「ビジログ」を提供開始
◆中小企業庁が中小企業向けの学習プラットフォームを公開
中小企業庁は、8月20日から、EdTechを活用した時間や場所にとらわれない多様な学びのスタイルの提供の場として、中小企業従業員向けの人材育成プラットフォーム「ビジログ」を公開しています。
【参考サイト】
◆中小企業でも人材育成が求められている
昨今、人材育成の必要性が叫ばれているところですが、実際に人材育成に取り組んでいる中小企業はまだまだ少ないのではないでしょうか。
変化の激しいビジネスの現場において、社員の人材育成は中小企業にとっても大きな要素となっていますが、投入できる人員や時間、資力もない中小企業にとっては、どうしても後回しになってしまいがちです。
◆無料で受講できる
「ビジログ」のサイトによれば、ビジログでは、将来、企業の事業活動の中核的な役割を担う人材に必要な「専門知識」やその土台となる「キャリア・オーナーシップ」と「社会人基礎力」を学ぶためのコンテンツが用意されており、それぞれ以下のような形式で提供されます。
・ウェブ型(受講時間:3~10分、 受講方法:PC・スマホなど)
・双方向ライブ型(受講時間1時間半、受講方法:PC・スマホなど)
・ワークショップ型(受講時間:6~7時間、受講方法:集合・座学)
これらの受講は無料となっているそうです。まだ公開されたばかりで、これから随時情報が提供されるようですが、動画受講のイメージなども確認できますので、一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
70歳雇用時代が来る? 政府が検討開始
◆今秋から検討開始
政府は、未来投資会議と経済財政諮問会議で高齢者が希望すれば原則70歳まで働ける環境整備に向けた検討を、今秋から始める方針です。
現在は高年齢者雇用安定法で原則65歳までの雇用が義務づけられていますが、同法を改正し、70歳雇用を努力目標とすることを検討するとしています。
◆2019年度は補助金拡充
法改正に先駆け、まず高年齢者雇用に積極的な企業への補助金を拡充するとしています。来年度予算案で高齢者の中途採用を初めて実施した企業への補助金を拡充し、「トライアル雇用」から始められるようにすることで企業に高齢者雇用への取組みを促す方針です。
◆賃金大幅ダウン避ける仕組みも検討
内閣府の「平成29年版高齢社会白書」によれば、現在仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」と回答しており、「70歳くらいまで」が約22%、「75歳くらいまで」が11.4%、「80歳くらいまで」が4.4%と、全体の8割近い人が高齢期にも高い就業意欲を持っています。
しかし、現在は定年後に継続して働く場合でも高年齢者雇用給付や在職老齢年金との兼合いで大幅に賃金がダウンする仕組みとなっています。
このため、働く意欲や能力のある人が大幅に賃金が下がらないようにするため、評価・報酬体系を官民で見直すとしています。公的年金を70歳以降に受給開始できるようにすることも検討される予定で、70歳超から年金を受け取る場合には受取額を大幅に加算する案も出ています。
◆現状は「再雇用」が8割
ただし、企業における現在の高齢者雇用は、定年を65歳まで延長している企業が17%、定年廃止は2.6%で、約8割が「再雇用」です。
政府は、高齢者雇用で成功している企業を参考に、今秋以降、経済界などとも慎重に協議を進めるとしています。
病気の治療と仕事の両立の状況は?
医療技術の進歩により、病気になっても職場に復帰し、治療を行いながら働き続ける方が多くなってきました。今回は、「病気の治療と仕事の両立に関する実態調査(WEB患者調査)」(労働政策研究・研修機構)の結果から、気になるポイントを見てみましょう。
◆主な疾患と通院頻度
主な疾患は、糖尿病(34.3%)、がん(19.8%)、難病(17.6%)、心疾患(15.9%)、脳血管疾患(6.3%)、肝炎(6.0%)となっています。通院頻度(疾患罹患後から1年間の平均)は、どの疾患も「月1回程度」の割合が最も高く、「3カ月に1回程度」と続きます。
◆休暇・休職期間
治療・療養を行うための連続2週間以上の休暇または休職については、「取得した」(30.9%)、「取得していない」(51.9%)、「そもそも休職制度がない・適用されない」(17.2%)となっています。取得したとする割合が高い疾患は、脳血管疾患(56.9%)、がん(53.5%)などでしたが、一方で糖尿病(14.0%)は他の疾患に比べて低くなっています。休職期間は、「1カ月程度」(31.5%)、「2週間程度」(26.3%)、「2カ月程度」(13.6%)、「3カ月程度」(9.4%)などとなっています。3カ月以下の合計は80.8%となっています。
◆退職状況
疾患罹患後において、「現在も同じ勤め先で勤務を続けている」(78.3%)方が多くいる一方、“仕事を続ける自信がなくなった”等の理由で「依願退職した」(14.7%)、「会社側からの退職勧奨により退職した」(3.6%)、「解雇された」(1.7%)、「休職期間満了により退職した」(0.7%)方もいます(合計20.7%)。
◆職場で誰に相談したか
疾患に罹患した場合、職場では「所属長・上司」(63.2%)へ相談する方が最も多い一方、「勤め先には一切相談・報告しなかった」(26.9%)方もいます。人事労務担当者のみならず、部門長等の立場にある方も、一定の知識を持っておくべきではないでしょうか。
これらの結果をみると、通院頻度や休職期間はイメージよりもずいぶん少ない場合が多く、勤務を続ける方も多いと感じられるのではないでしょうか。会社からの情報提供(公的制度による支援や相談先についてなど)や制度整備を行うことによって、病気になった方でも力を発揮しやすい職場を作ることは、会社の魅力度アップにもつながるでしょう。
http://www.jil.go.jp/institute/research/2018/180.html
10年先の経営を考える!~「事業承継」の検討を始めてみませんか?
◆事業承継をめぐる現状
中小企業の経営者の高齢化が進んでおり、数十万社の中小企業が事業承継のタイミングを迎えようとしています。
しかし、後継者不在などの問題があり、事業の承継は決して円滑に進んでいるとはいえない状況にあります。経済産業省と中小企業庁の試算によれば、現状を放置すると、中小企業廃業の急増により、2025年頃までの10年間の累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性もあります。
◆事業承継は「国の喫緊の課題」
このような状況を受け、国も、中小企業の事業承継を「喫緊の課題」と位置づけてさまざまな対策を打ち出しています。特に、今後10年程度を「集中実施期間」として、取組みが強化されることとなっています。
例えば、平成30年度税制改正の“目玉”として、事業承継時の贈与税・相続税の納税を猶予する特例措置が10年間限定で設けられました(詳細は、中小企業庁のホームページ等で確認することができます)。このように、さまざまな支援策が用意されていますので、積極的に活用することを検討したいものです。
◆円滑な事業承継を行うために
後継者の育成も考えると、事業承継には10年程度の時間を要することも少なくありません。早期に準備を始め、計画的に取り組んでいくことが必要です。
円滑な世代交代が行われれば、事業の活性化も期待できるところです。まずは、事業承継にあたっての自社の課題を把握し、その解決策を検討することから始めてみませんか。
「入国在留管理庁」発足で外国人の受入れはどうなる?
◆来年4月に発足へ
法務省は、入国管理局を格上げし「入国在留管理庁」(仮称)を設置する方針を固めました。来年4月の発足に向けて秋の臨時国会で関連法案を提出します。
同省は外国人労働者の受入れ拡大、訪日観光客の増加に対応するため入国審査官を約300人増員し、5,000人超の組織にするとしています。また、「出入国管理部」と「在留管理支援部」(いずれも仮称)を設け、不法就労・不法滞在の取締りを強化するとしています。
◆「特定技能」を新設
さらに、来年4月には、建設、農業、宿泊、介護、造船の5分野を対象に外国人の単純労働を認める「特定技能」という在留資格が新設される予定となっています。「特定技能評価試験」(仮称)に合格すれば最長5年間の就労が認められ、技能実習生として最長5年滞在した後に「特定技能」の資格を取得すれば、10年間滞在が可能になります。
政府は、2025年までに5分野で50万人以上の特定技能の外国人を受け入れることを想定しています。そのため、2017年末時点で在留外国人は約256万人と過去最高を更新しましたが、さらに膨らむことになりそうです。
◆関係省庁や自治体との連携に期待
入国在留管理庁は、入管業務の強化だけでなく、外国人の受入れ環境の整備について、関係省庁や自治体との連携を担うとしています。例えば、入国後の生活支援や語学のサポート等は文部科学省と連携して行うとしています。
法務省は、入国在留管理庁の発足により、日本での外国人の労務トラブルや犯罪等が減少し、労働者、観光客が増加することに期待を示しています。
厚生年金のパート適用、さらなる拡大を検討
◆要件緩和で加入者200万人増?
厚生労働省が、パートタイマー(短時間労働者)の厚生年金加入の適用拡大にむけ、検討会を設置するとの報道がありました。要件を緩和し、最大200万人の加入者増を見込むとしています。
◆パートタイマーの厚生年金適用範囲
厚生年金保険は、直近で2016年10月に適用拡大が行われました。以降、パートタイマーの適用範囲は下記A・Bのいずれかになっています。
A 所定労働時間および所定労働日数が一般社員の概ね4分の3以上(一般的に所定労働時間「週30時間以上」)。
B 次の①~⑤をすべて満たす人(①所定労働時間「週20時間以上」/②月額賃金「8.8万円以上」/③雇用(見込)期間「1年」以上/④学生でない/⑤勤務企業の従業員規模「501人以上」(※2017年4月より、500人以下も労使合意にて加入可))。
いま検討されているのは、上記②月額賃金を「6.8万円以上」と引き下げることや、⑤企業規模「501人以上」を撤廃すること等です。
◆労働時間を延長して厚生年金に加入したいパートタイマー
2016年の適用拡大の際、新規加入者は25万人程度と予想されていましたが、実際には37万人の加入者増となりました(「2018年4月4日 社会保障審議会年金部会」議事録)。
このことについて調査した、労働政策研究・研修機構「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査(略)働き方の変化等に関する調査」によると、2016年の適用拡大に伴い働き方が「変わった」パートタイマーの半数以上が、「厚生年金・健康保険が適用され、かつ手取り収入が増える(維持できる)よう所定労働時間を延長した」と回答しており、「適用されないよう所定労働時間を短縮した」という回答を上回っています。
多くのパートタイマーは、2016年の適用拡大をきっかけとして、より長時間働くワークスタイルへ変化したといえます。
◆適用拡大への企業対応
今回の適用拡大はまだ検討中の段階ですが、「(労働時間を延長して)厚生年金加入を希望するパートタイマー」はこれからも増えるのではないでしょうか。
上記調査では、さらなる適用拡大が行われた場合の企業対応として、「基本的には短時間労働者の希望に基づき、出来るだけ加入してもらう」が最多の4割超でした。企業にとっても適用拡大は、パートタイマーを積極的に活用する良いきっかけなのかもしれません。
10月の税務と労務の手続[提出先・納付先]
10日
- 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
- 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>
- [公共職業安定所]
- 労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>
- 31日
- [労働基準監督署]
- 個人の道府県民税・市町村民税の納付<第3期分>[郵便局または銀行]
- 労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、7月~9月分>[労働基準監督署]
- 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
- 健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
- 労働保険料の納付<延納第2期分>[郵便局または銀行]
- 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
- 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>
- [公共職業安定所]